茉建寺エリノアの非主流科学研究室/榊一郎,ちり

帯に銘打たれた「科学の力で作るのだ」「何を?」「友達を」という文句の示す通りの、辿々しい感情が織りなす可愛く健気な科学×友達コメディ。科学者がヒロインということもあって、ちょっとSF風味。

転校初日に遅刻しそうになった太宰駆流が食パンくわえながら、近道した結果衝突したのは美少女・茉建寺エリノア。要領を得ない遭遇の末に彼が出会ったのは、爆発。学園ラブコメの出会いのテンプレの末に主人公の身体が爆散とか何を言ってるのかわからないかもしれないが以下略。
友達を作ることがライフワークだという駆流と、マッドサイエンティストなエリノアが出会い、化学反応するようにボーイミーツガールが描かれる。
友達を作る、という一見可愛くも健気ながらも、下手を打てば無駄に重くなりそうなテーマを、コメディタッチにあくまで軽く、それでいてそれだけでもなく、最終的にはエンタメとして読ませてくれる。駆流にとっての友達、エリノアにとっての友達、今回のお話で重要な役どころにもなっている廣田円香にとっての友達。それぞれの感情と関係が交錯してドラマが創り上げられる。
何気ないことをちょっと変わった組み合わせをしながら、それでいて上手く纏め上げて安定した面白さを提示してくるのは流石と言わざるを得ない。この作品も面白かった。
オチも、彼らのその先を想像させるような終わり方で、読後感はとてもよかった。2巻はありそうな雰囲気のお話だったが……個人的には続き読みたいです。

それにしても、表紙のエリノア可愛いなぁ。

ヴァンパイア・サマータイム/石川博品,切符

人と吸血鬼が世界を分け合って暮らす世界の青春ラブストーリー。
頼雅の家はコンビニで、学校が終わると店を手伝う。その中で冷蔵庫の奥から商品の補充を行う際に、いつも同じくらいの時間にやってくる1人の少女を覗き見ることが日課になっていた。彼女は頼雅と同じ学校の制服だけども、普段は会うことはない。頼雅は人間で昼の学校に通い、彼女は吸血鬼で夜の学校に通うからである。そんなある日、少し帰りが遅くなったところ夜間部の登校風景に出会い、彼女と鉢合わせする……といった始まり方。
昼の世界を人間が、夜の世界を吸血鬼が主として暮らす世界。吸血鬼が怪物としてではなく、異能者としてでもなく、まるで昼に働く人と夜に働く人、それくらいの感覚で表現された世界。その中での人間の高校生である山森頼雅と、吸血鬼の高校生である冴原綾萌の恋愛模様が紡がれていく。

あとがきにも、吸血鬼を特別なモノとして描きたくなかった、というようなことが書かれているが、それはとても徹底されている。勿論、どうしたって吸血鬼らしい習性もあるにはあってそれも描かれるが、血を吸うのは1ヶ月に一度血液パックから行うことであったり、餃子はニンニク抜きであったり、それはなんというか、微笑ましい、という程度に抑えられている。
頼雅が踏み込むことになる吸血鬼……夜の世界の描き方なんかもある意味サラッとしていて、読んでいて、この物語の世界に住む人間と吸血鬼の異物感は、それこそ昼間に通う高校生と夜間部の生徒、というぐらいの感覚なんだろうなぁと思える。
また、主な視点が頼雅と綾萌がバトンで繋ぐように、ほぼかわりばんこに物語を進めていく。人間である頼雅と吸血鬼である綾萌の感覚と感情が、そのそれぞれのズレが、交錯しながら物語に乗せられ、本来非日常な存在である吸血鬼との恋愛を、(読者も)あたかも普通の恋愛のそれであるかのように錯覚する。そして、それ故のラストシーンに、心臓をギュッと掴まれるような感覚を覚えました。

最後は色々捉え方がある終わり方だとは思うけど、どう捉えるにせよ後を引く読後感で、とてもよかった。タイトル通り、夏に読みたい本。
石川博品さんの作品は、『クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門』を読んでいるけど、それとはまた少し違った魅力で、完璧にファンになりました。耳刈ネルリシリーズも読んでみたいと思います。

僕の学校の暗殺部 3 その日、ロンサム・ジョージは死んだ/深見真,ふゆの春秋

たまたま『GENEZ』と『武林クロスロード』を直前に読み終わって、最新作であるこの『僕の学校の暗殺部』3巻が読めたのはよかったかもしれない。

ここまでシリーズを複数読ませて頂いて、深見さんの作品は、いい意味でB級映画的なセンスで作った大作アクション映画をライトノベルに落とし込んだモノ、という印象なんですが、この作品もそのイメージから大きく外れてはいない。「銃あり拷問ありの思春期の少年少女のお話」は「深見真さんのラノベと言えば?」と聞かれると、読んだことある人は大体そう答えると思う(あと百合とかw)。
しかし、この作品はそれまでの深見真作品とはまた少し違った表情も見せる。
作品の中で暗殺部の面々は、いるか人間を殲滅してしまったら=戦わなくてよくなったら……戦場が失くなって自分は大丈夫なのか、というようなことを考えたりしている。
この物語は最初から一貫してそうだけど、この物語は何かを解決してめでたしめでたしとか、誰かが死んでどうなったこうなったというタイプのお話ではない。酷い言い方をすれば、この物語のキャラたちはただ生き、ただ死んでいく。1巻の表紙のヒロインが1巻で早々に死んだのもそういうことだろう。誰かが死んだところで何かが劇的に変わったりしないし、憎っくき誰かを倒したことによる物語のダイナミズムもそこまで大きくない。淡々としているわけではないのだけど、そういう部分がこの物語のミソになってるわけでもないのだ。この物語の重要な部分に、いるか人間との対峙はあるのだけど、最終地点は、いるか人間の駆逐による平和な日常への回帰、ではないということだろう。
銃を撃ち、殺し、時に自分もしくは周りの誰かが殺されること……暴力と隣り合わせの日常、その日常の中での日々の物語であることが窺える。その中で、彼らなりの『僕の学校の暗殺部』のエピローグが語られ、物語は幕を閉じる。

ただのファンから見れば、今回は暗殺部の上級生の卒業があったり、いるか人間側の人間が出てきたり、やろうと思えばまだまだいくらでもやれる余地があるし、まだまだこの物語を紡いで欲しいとも思ったのだけども、深見さん本人があとがきで、零士たちを通してやりたいことは全部やったと書いているのを見て、改めてエピローグや10章を読み返したりするうちに、なるほどという気はした。同じように甘くて苦い青春と戦争が描かれた『疾走する思春期のパラベラム』や『GENEZ』を経て、ここに辿り着いたと考えると余計に。
だから、これはこれでいいのかなと思えました。

と、なんか好き勝手書いてみましたが、表情は違っても深見真作品としての見所は今回も満載。1巻2巻に負けずにえげつないですw そういうところは寧ろ通常営業と言える。
そして先程書いた、いるか人間側の人間。表紙の女の子ともう1人いるのですが、これが禍々しくも面白いキャラクターで、物語としてここで幕を閉じるのは納得はしたものの、彼女たちのお話だけはもう少し見てみたかった。
あと、地域コブのシーンがかなりのエグさ。エグいけど、逆に言えばこのシーンを読めただけでも600円出した価値があるのではないだろうかとも思える程にエグい。まぁ暗殺部はエグいシーンの連続なんですが、コブの痕のシーンは想像するだけでなんかもう。

そんなわけで、ここで幕を閉じるのに納得自体はするものの、やはり終わってしまうのが残念で仕方ないことを感じざるを得ないシリーズです。
とはいえ、ここまででもとんでもなく面白い作品で、自分がラノベで大好きなシリーズと問われたら、確実に挙げる作品の1つになりました。
何にせよ、次回作(もしくは暗殺部スピンアウトでもいいですがw)、楽しみにしています。

特装版 犬とハサミは使いよう 7/更伊俊介,鍋島テツヒロ

7/1の今夜25:00からMXでアニメが始まるハイテンション作家バトルライトノベル、『犬とハサミは使いよう』7巻! しかも特装版!
ドラマCD付きでアニメの前哨戦もバッチリ。これで2000円を切るんだから、昨今のラノベ市場のお得感は留まり知らずですな!!

さて、そんな7巻は秋山忍・姫萩紅葉・秋月マキシの合同サイン会。
作家によるサイン会……本を愛する者にとってそれは憧れの場所であるが、この作品の作家のサイン会が普通にサイン会であるわけがなかった……と思ってたら、この世界は読者も若干おかしく、アニメ放送直前にも関わらず、ある意味全力に通常営業の犬ハサでしたw 合同で行われつつも三者三様に繰り広げられるサイン会、意外と普通に楽しそうで何よりです。
今回、キャラとして利いているのは鈴菜ですかね。元々いいキャラをしている彼女ですが、いつも以上に利いていたと思います。

特装版のオマケ、ドラマCDの方もそれは変わらず。秋月マキシとの野球対決……かと思えば、巨人の星、いやいっそ男塾顔負けの魔球とミラクル打法に溢れるハイテンション作家バトルになっていた。小説のどうしてこうなった!? 感がドラマCDでも存分に感じられ、めちゃくちゃ楽しかった。ちなみにメインキャストは春海和人:櫻井孝宏、夏野霧姫:井上麻里奈、柊鈴菜:伊藤静、大月映見:加隈亜衣、秋月マキシ:芹沢優、桑田:木村亮俊、となっております。夏野の井上麻里奈さん、鈴菜の伊藤静は激ハマり役なのではないでしょうか。
とまぁ、そんな感じなので、小説→ドラマCDへの作品世界の再構築は非常に上手くいっているように感じられます。シナリオはアニメのシリーズ構成・脚本を務める根元歳三さんらしいので、この調子ならば今夜から始まるアニメも心配なさそう。アニメも楽しみです。
というか、アニメですな。この作品、作家とその熱狂的なファン(犬だけどw)が主人公ながら、アクションありバトルありバイオレンスあり……よく考えなくても何で作家がこんなに戦ったりしてるんだ……。とにかく、そんな感じなのでとてもアニメ映えはしそうだなとは思ってたんですが、ある意味とても狂ってる作品なのでアニメ化なんてして大丈夫なのか感はありましたがw、ここまでくると楽しみにするしかないですな。

ただ1つ不満が。特装版のこのパッケージはどうにかなりませんでしたか、というのが正直なところ。取りやすくしようと思っての設計なのかもしれないけど、開くとすぐにバラバラになってしまうのは返って出し入れし辛いです。

次回はDog Earsの3巻ということらしく、犬ハサの短篇集はいつもハンパなく楽しいのでそちらはそちらで超絶楽しみですが、今巻の最後、とても気になる引きだったので、本編8巻の方も早めにお願いしまっす!!!

魔女の絶対道徳 2/森田季節,NOCO

和製伝奇ラノベ2巻。1巻と同じように、ちょっとした謎解きやバトルを挟みつつ、伝奇を楽しめる。しかも輪月さんの下ネタは加速している。
1巻は基本的には主人公の町の中の話だったけど、今回は序盤から他所の町の咒師が出てくる。そんで、割と凄いことになる。つーか牡丹様パねえ。
登場する異形は所謂、疫病神というやつ。しかし、『神様』というのは、出自やシチュエーションが変わるだけで、良い神様になったり悪い神様になったり、その姿を変えてしまうのは面白いな。まぁ当の神様が変わったのではなく、人間の見方が変わっているだけだろうけれども。そういう人間の変化によって守り神になったり、祟り神になったりした彼女らの謎解きをしつつ、物語が展開されていく。そして、その中で明らかになる主人公の頼斗のこと。
やー、最後の仕掛けまで、とても楽しかったです。本当に『魔女の絶対道徳』なのだなあと感服しました。
と、大満足ではあったのですが、えー、まぁ、なんというか。とても座りのよい終わり方で。完全に幕を引いているというか。もしかして、このシリーズ、ここで終わりでしょうか。
伝奇な部分以外のそれぞれのキャラとかも、輪月さんの下ネタとか、それを受けての知理ちゃんのカマトト誤魔化しとか、そんな彼女らとの頼斗との絡みとか、新キャラの頼斗妹や愛良もよかったし、めっちゃ楽しかったんですけど、終わりなんでしょうか。

NOCOさんのイラストもさすがの出来でした。表紙や口絵、本編の挿絵はもちろんのことですが、あとがきが幸せな気持ちになりました。あとがきが幸せな気持ちになりました。こんな場面もっと見たかったですね。

というわけでめっちゃ楽しいシリーズなんですけど、やっぱり終わりですか……?
やだやだやだ、いーやーだー。いーやーだー。だー。もっとよみたい。よーみーたーいー。おわり、やー。もっとー。
て、近所のJSラノベ読みが言ってるの妄想してます。

サイコメ 1 殺人鬼と死春期を/水城水城,生煮え

原題は『サイコメ −PSYCHO&LOVE COMEDY−』とのことなので、サイコメというのはサイコとラブコメの略か。
タイトルも示す通りに、殺人鬼とのラブコメが綴られたお話である。ある大量殺人事件の冤罪を被せられ、未成年の犯罪者を更生する学院《プルガトリウム更生学院》に入学することになった神谷京輔、がこのお話の主人公。そのプルガトリウム更生学院だけども、未成年の犯罪者と一口に言っても色々なんだけれども、その中でも殺人を犯した犯罪者を更生させる学院で、その入学者は漏れなく殺人者、という。そこで出会ったガスマスク少女、氷川煉子と……という具合。
ガスマスク女とサブタイトルの「死春期」というワードに脊髄反射で買ってしまった。ファミ通文庫はこういう中二的なツボを押してくるのが上手いですな。作者さんもハードコア系の音が好きらしく、それっぽいワードがチラホラ。先々、どういうモノが出てくるか、少し楽しみではあります。
お話自体の感想としては、まだまだこれから、というとこか。まぁ1と既にナンバリングされてあるので少なくとも2巻までは既定路線なのでしょうし、メインキャラの顔見せ的な感じだったのはどうしても否めなかった印象。サクサク楽しく読めて、京輔と煉子なんかの会話劇なんかとても楽しかったので、とりあえず2巻待ち、といった感じ。
キャラ的には、それぞれ魅力あるけれど、脇役(?)のモヒカンが気になって仕方ない。脇役で、登場も如何にも小物の添え物みたいな登場だったんだけれども、1巻を読み終わる頃にはとんでもないスケールの大きさを感じるようになっていた。どうしてこうなった。

犬とハサミは使いよう 6/更伊俊介,鍋島テツヒロ

凶器と狂気のハイテンションコメディ、第6巻。
コミカライズも単行本が発売され、アニメ化も決定。まさに今が旬の感のある犬ハサ。この6巻でも、その勢いは変わらず、といったところでしょうか。しかし、主人公は本好きの犬と女流作家だった筈だが、何故こうなっている……!
今回は5巻で相対した姫萩紅葉とのあれこれな回。まぁ5巻に引き続きという感じもなくはないか。ただ、今回は春海と主に行動を共にするのが紅葉であるため、そういう意味ではいつもとは違った様相を……という程でもない。犬ハサは犬ハサということか。まぁいくらなんでもこのキャラはあの人たちとは違ってああいったことにはならないだろう……と思っていても、思いたくても、いや、普通の人であってほしいと願っていても、そんな読者の思惑を嘲笑うかのようにぶっこんできやがる。276頁を開いた時は声出して最早ワロタわ。短編含めてもう8冊読んでることになりますが、これが犬ハサか……! と改めて思わされました。更伊俊介、恐ろしい人……!
まぁそんなわけで今回、夏野さんの出番が少なすぎなんだけども、持ってくとこはしっかり持っていってくれるのは、さすがと言わざるを得ない。こうでないと、というところでしっかり活躍してくれるキャラはやはり素晴らしいですな。実は割と王道好きというか、正カプ好きなので、夏野と春海の2人を見てるのはとても楽しいのです。
鍋島さんのイラストも素晴らしかった。前述の276頁のイラストは勿論、36頁のイラストには思わず「ヒッ」って声が出そうになった。目次のちびキャラもいつもの可愛さ。ちびキャラのスピンアウト4コマまだですか……!
そして、アニメ化がとても楽しみですな。基本コメディでノリもいいし、バトルもどういう見せ方をしてくれるか、今から楽しみで仕方ない……て、TVアニメ前提の期待してるけど、それで大丈夫なのですよね?
で、次回の展開が楽しそうすぎて楽しみすぎて怖い。もう、まともに展開されるわけないし、楽しみすぎて怖い。

四百二十連敗ガール/桐山なると,七桃りお

第14回えんため大賞大賞作品となる今作。ジャンルとしてはラブコメとなるだろうけど、作品が纏う雰囲気というか、空気感が、とてもハイテンションで勢いがあって凄いの一言。
舞台となるのは『聖シンデレラ学園』、通称デレ園。教員や職員に至るまで、あらゆる美少女・美女をかき集めて作られたその学園は、女子の四分の一の数となる40名の男子だけが入学が許される。スケベ心丸出しの馬鹿共により超難関校となるデレ園。主人公となるのは、その入学試験を主席合格した石蕗ハル。愛と性に爛れた学園生活を夢見ていたはずが、入学早々に『蟯虫齧り虫』という蔑称を頂き暗黒の日々を送ることに……。そんな暗黒の日々を、デレ園でも屈指の美少女、毒空木美也子と出会い告白されることで、ハーレムラブコメよろしく薔薇色の日々に……なってないな、これ。どうしてこうなった。
まずタイトルに絡めてですが。こう見ると、あからさまにハーレムラブコメな様相ですが、ある意味では全くハーレムラブコメではありません。ハルが毒空木と出会い、こじれにこじれて、ヒロインが主人公に(恋愛的な意味で)420連敗させる『デレ園全告ツアー』を決行するということに……。ホントにもう、どうしてこうなった。
そのヒロインとなる毒空木はいつからか言われるようになった所謂暴力系ヒロイン。彼女の行動を表す文章の中に「左」とか「右」とか書いてたら、まずストレートとかローキックとかだったりするレベル。ここまでいくと清々しいとはこのこと。主人公もかなりゲスい。若干ヒくまである。大丈夫かこいつら、という印象で、正直、読み始めた時は、最後まで読めるか不安だったけど、慣れてくると凄く面白くなってくるし、妙な好感すら覚えるのが不思議。
設定も面白くて、こういうぶっ飛んだのはラノベならではだよなあと。美少女をかき集めて、そんな可愛い女の子を餌に釣られて勉強しまくった一癖ある男子を集める。そして、そんな学校で出会った男女関係をこじらせて展開。なんだよ、デレ園全告ツアーって。
設定からキャラから冷静に考えてみると、いやいやねーよw と思うんだけど、これをやり切る、そして読ませる勢いを感じました。最初は首を捻りながら読んでたけど、読み終わってみると、とても楽しかったと言えるラノベでした。大賞というのも頷ける。おバカなコメディが好きなら是非オススメです。
しかし、この調子で420人やってくのだろうかw

魔女の絶対道徳/森田季節,NOCO

ジャンルとしては、和製怪奇モノといったところか。異能アリ、伝説などを引用したエピソードアリ、会話漫才アリ、謎解き要素アリ、単純な勧善懲悪な感じになってないとか、ラノベファンなら大好物な要素満載。ちょい下ネタな笑いだったり、シリアスな部分は血なまぐさかったり、最近のトレンド? な部分も入っていて隙がない。隙がない所が逆につまらない……などと言うと思ったか、大好きだよ!!! ……最近のトレンドとか書いたけど、俺がそういうの好きで選んでるだけの可能性の方が高いな。
主人公は正義の味方というより、町の調整屋さんといった役割。町の均衡を守って平穏を保つ感じ。面倒くさがりのやさぐれたアンパンマンの雰囲気。化物がいても、悪さをしない限りは滅したり罰したりしない、という。しかし、アンパンマンと同じような役割でも、アンパンマンと同じようにはいかないし、それに相手はバイキンマンとも限らない。つーかアンパンマンで喩えるの無理あるな。何でアンパンマンで喩えようとしたの。町が単位だから……かな。まぁいいや、割とエグい展開、町の揉め事だからこそのエグさで、楽しいと言うとアレだが、面白かった。
ヒロインである輪月さんもよかったなー。何より、主人公と彼女との会話漫才が楽しくて仕方なかった。ちょい下ネタ要素混じってるヒロインとの会話漫才は何でこんなに楽しいのか。また、もう一人のヒロインでもある知理ちゃんのキャラもそれに華を添える感じでとてもよかったし、牡丹なんかは言わずもがな。怪奇だとか血なまぐさいとこだとか、それだけで終わらせてない楽しさがこの作品の面白さを1段引き上げてる気がします。
また、作品を彩るNOCOさんのイラストも凄くよかった。キャラデザイン的には牡丹。彼女の聖性……とはちょっと違うのだけど、侵してはいけない雰囲気みたいなモノをよく現してるキャラデザインになってるなーと。その上で、口絵の最後のページの牡丹なんか、凄く雰囲気あってたまらないです。本文の挿絵も緊迫感とか緊張感とか、もしくは逆に弛緩したモノだったり、凄くその空気感を現したイラストで、見てるだけど作品の雰囲気がヒシヒシと伝わってくる、本当に作品を彩るイイ挿絵でした。
というわけで、大満足の一冊でした。続き、あるんですよね? ないなんて嫌です! なかったらアンパンチです!
凄い、アンパンマン繋がりましたね?

僕の学校の暗殺部 2 たぶん個人的な事情/深見真,ふゆの春秋

虚淵玄さんとの共同脚本であるアニメ『PSYCHO-PASS』の小説版も決まったという深見真さんの、いるか人間を暗殺する部活のお話『僕の学校の暗殺部』第2巻。今回は前回の余韻みたいなものを引き継ぎながらも、他所の暗殺部や新しいタイプのいるか人間などが出てきて、暗殺部の世界の拡がりが見られて楽しかった。
それにしても深見さんの作品のハードな暴力などのシーンと、咽てしまうような青臭さの溢れる思春期感のマッチ具合の良さと言ったら他にはないな。今回も、いるか人間による血なまぐさい虐殺の様子は半端ないし、それ故に暗殺部によるいるか人間撃退の様もまた半端ない。翻って、零士の青臭さも加速するかのように描かれ、それがまたたまらない。
ついこないだ読んだし、同じファミ通文庫なのでどうしても比較してしまうが、『疾走する思春期のパラベラム』が、それこそタイトルのような迷いながらも突っ走るような思春期の力の勢いをそのままに表したイメージだとしたら、この『僕の学校の暗殺部』は、鬱屈して停滞して渦巻いた溜まった思春期の力をどこかで解き放つようなイメージがする。対比というわけではないし、それぞれの主人公のキャラが正反対のキャラというわけでもない。そのどちらも思春期らしい表情に変わりないのだけど、同じ思春期でもその表情の違いがこうも出るのは面白いなぁ。
また、今回は『欲』、とりわけ性欲をポイントにしたらしいのですが、確かに思春期には避けて通れない部分ではある>性欲 今改めて振り返ってみると、自分の思春期の性はエロ漫画ばかりだった感ある。小学生で直撃した『1+2=パラダイス』や『瞳ダイアリィ』のような少年誌系エロ漫画から始まり、ペンクラ、パピポ、快楽天……。いやまぁ実写系のエロ本やAVも見てたけど、印象的なのはやはりエロ漫画になるか。成年系エロ漫画で言えば、『Secret Plot Deep』と『アナルジャスティス』はいまだに聖典であり性典。あぁエロ漫画ではないけど、後にジュブナイルポルノと呼ばれることになる『ゆんゆんパラダイス』もハマってた。みむだ良雑さんの挿絵がまたエロ可愛くて……エロ漫画の話はもういいか。まぁそんな風なことを思い出すように、思春期の時期の色々はその後の人生に直列で影響することは珍しくないので、そういうことが描かれるのは『思春期の物語』としてはとても大事なことではあるよなーと。
そうだ、あとがきで深見さんが書かれてた、やってみたいという『脱衣麻雀』モノ。どういう作品になるのか自分なんかでは見当もつかないですが、この際、エロ漫画かジュブナイルポルノとして、がっつりR-18作品にしてやりたい放題やってはどうだろうと少し思ったw 百合や男の娘が、なんかこう色んな意味で色んなものが溢れ飛び散る思春期脱衣麻雀。麻雀モノだった筈なのに、何故か銃撃戦があったり、脱衣っていうか……みたいな脱衣麻雀……読んでみたい! とエロ漫画やジュブナイルポルノの話を作品の感想に無理矢理繋げる試み。
とか妄想してたけど、よく考えたら深見さんラノベの枠内でも割とやりたい放題してるので余計なお世話感高い。まぁ勿論、完全にやりたい放題ではないとは思いますが、今回も結構きわどいエロだったりグロだったりな描写あります。
まぁそんなわけで2巻もめちゃくちゃ面白かったです。他作品やアニメ『PSYCHO-PASS』本編に小説版も含め、深見さんの今後が更に楽しみです。

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