サエズリ図書館のワルツさん 1/紅玉いづき,sime

よい読書を。
たぶん、大災害のような、大きな戦争があった後の世界。そこには、人がゆっくりと滅んでいく様なのか、ゆっくりと立ち直っていく様なのかはわからないけれど、少し退廃的な雰囲気が漂う。退廃的と言っても、『北斗の拳』とか『AKIRA』のようなのではなくw、高橋しんさんの『花と奥たん』とか、田中ロミオさんの『人類は衰退しました』みたいな、影がありつつも、どこかほのぼのとした風景というか。そんな滅びかけてる人の世界の、滅びかけてる本と、それを納める物好きな図書館のお話。
その世界は選べる未来のそんなに多くない世界で、やれることのそんなに多くない世界で、そこで描かれるお話は、それほどに残酷だったり悲惨だったりするような描写はないのだけど、やはりどこか物悲しいというか。なのに、少し心が暖かくなるような余韻が残って、とてもたまらない感触がしました。
そのお話の感触の一端を担っているのは、紅玉いづきさんの言葉、文章にもあるかなぁと思う。ギュッと搾り出すように紡がれた文章は、言葉の端々、句読点まで含めて、スッと沁み込むように入ってくる。それが故に物語の感触を聡く感じさせられる。紅玉さんの作品はこれでまだ3冊目だけど、どの作品もどこか悲しくも、それでいて優しい。この作品もそうでした。
また、今の、このタイミングでこの作品、本好きによる本と本好きに贈られたようなお話が発表されたというのも面白いですね。まぁ、太田さんなんかはそういうタイミングを狙ってたのかもしれませんが。きたないな、さすが太田、きたない。
それにしてもこの本、本に対する愛情にパチュンパチュンに溢れとる。愛情にパンパンに膨らんで針でつついたら弾けそう。まぁでも結局そうなんだよな。
たとえば電子書籍の話。日本に置ける電子書籍は、フォーマットとしての本に現時点では勝ててない。以前に京極さんが言ったという話があるように、電子書籍は電子書籍の形を見つけないといけない。特に日本では。電子上の本の形に拘って発表してる限りは本に追いつけない。ただ、それも「今はまだ」という話だろうとも思う。たとえば、これから先、本みたいな形に囚われないページ構成で、文章も完全にテキストデータ。キャラ名に触れたらキャラの画像がフワッ出てきたり、キーワードに触れたら解説が出てきたり、リアクションをつけたり。イラストなんかも、初めから電子書籍ということならフルカラーでいいわけですし、先程書いたように本の形に拘らなければイラストの入れ方ももっと面白い入れ方できる筈。そういうことが不足なくやれた電子書籍ができたら、普通に電子書籍欲しくなるだろうなぁ。そして、そういう電子書籍、これから先、いつか出てくるんじゃないかと思います。ただ、そうなった時に、紙の本がいらなくなるかというと、そうはならない……と思う…………たぶん。たぶんなw
結局、紙の本が好きなんです。フォーマットとしての本。本は保存するには嵩張るし、紙って意外と重いし。でも、だからこそ愛おしいのです……とは言いません。そんなに、ドラマチックな本との出会いなんてしてないですw でも、本は本なんですよね。そういうことに改めて気づかせてくれる本でした。
1、ということは続きがあるんですね。エピソードをまだまだ読んでみたい魅力的な人たちに溢れたお話でもあったので、続きがとても楽しみです。

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