ストーンコールド 魔術士スカンクシリーズ 1/江波光則,中央東口

資産家の息子として育ち、そのスペックと金でスクールカーストの頂点に立つものの、父親の転落と共にカーストの底辺へと落ちた雪路。底辺へと落ちたことにより、虐めを受けることになった雪路はある日ガスガンによって左目を失う。資産家として名を馳せた父親譲りの逞しい哲学を持った雪路は、自身への虐め……左目を奪った人間に“対価”を支払わせることを決意するところからこの物語は始まる。

お話としては、スクールカーストを絡めてあるし、思春期で恋やら何やらもあるしで、青春のお話ということになるか。まぁ主人公の年代も年代ですし。しかし、それを彩るのは金・暴力・セックスである。主人公の冷めた考え方がその色を促進する。これだけ聞くと、どこのハードボイルド小説だと思うかもしれないがw、しかし(それともだからこそなのか)、ラストシーンを見る限り、とことん、骨の髄まで、青春小説なのではないか、と、そう思う。
しかし、そこはそれ。本の裏表紙には内容の引用でもある「この学校をコロンバイン高校にしてやろう。そう、決めていた」などという物騒な言葉が並び、帯の「虚淵玄・熱賛!」が、またそれを煽る。血と硝煙が煙る青春であることは必至である。

さて、主人公の雪路は先程も書いたように、父親譲りのちょっと特殊な哲学を持つ。それとも、一流の“商人”というモノはこういうモノなのだろうか。自分にはその哲学自体はちょっとわからないけれども、あまりわからないからこそ、読んでいてとても面白かった部分もあるかもしれない。
また、虐めへの復讐劇というと、主人公が虐めた者への何らかの仕返しなり、何らかの解決なりを果たした時に、快感や気持ちよさを感じる部分があるかもしれないが、このお話はそういう部分は、正直あまりない。いや、なくもないのだが、主人公の圧倒的な冷徹さと暴力の前に、読んでいてそんなものを感じる余裕がないのではないだろうか。
そして、そんな雪路に、わけわからん、頭おかしい、そう思いながらも、どんどん惹き込まれる。
そんな風にしながら、短い期間にいろんなモノを紆余曲折して、物語が辿り着いたクライマックスは、壮絶、という言葉に相応しい。その幕の引き方も含め、ラストシーンは壮絶ながらも美しさすら感じる。これ以外にはないなぁとすら思う。
そういう意味では、元々のデビュー元のガガガ文庫でレーベルメイトである、渡航さんの『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』に似た魅力があるのかもしれない。俺ガイルはあくまで学園ラブコメであり、キャラとしても八幡と雪路は全く似てはいないのだけども、2人を端から見ていてダークヒーロー的な部分があるという点は共通している気もする。その輝き方は全く違うし、彼らはおかしいと思うのだけど、何故か好きになってしまうというか。つまり、これは『やはり太田の青春ラブコメは悪がっている。』なのだと言ってもいいかもしれない。略して、太田が悪い……これは略称論争が起こりそうにないごめんなさい太田が悪いって書きたいだけでした。

中央東口さんのイラストも凄いですな。イラストにモザイク処理をかけた表紙もインパクトあるし、クライマックスでぶち込まれるぶち抜き挿絵はこのサイズでフルカラーであることが、十二分に活かされたイラストだったと思います。開いた時は息が止まる思いだった。

と、大変満足な1冊でした。
タイトルからもわかる通り、この作品は『魔術士スカンクシリーズ』というシリーズモノ。2巻はもう出ており、『スピットファイア』を読むのが今から楽しみです。
帯を見る限り、この『ストーンコールド』発売時は2巻は『スーサイドクラッチ』だったようですが、『スーサイドクラッチ』は3巻、7/17発売の模様。つまり、3巻もすぐ読める。やったー!!!

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