時の悪魔と三つの物語/ころみごや,かぼちゃ

第7回HJ文庫大賞受賞作。
ストレートにタイトル通りな時を駆ける悪魔とそれに纏わる3つの物語のお話。
構成として、それぞれ主人公の違う3つの連作短編のような形式をとり、その3つの関係性とでもいうか、ある種群像劇的に1つの物語を紡いでいて、それでいてわかりやすく読者に提示できているところはお見事という他ない。タイトルでもわかる通り、時間を操作する話でもあるので、このわかりやすさというのは武器かもしれない。

3つのお話はそれぞれ恋のお話になっていて、1つ目の『トキの砂』は物書きとして、次の段階に進む為に旅立った少年とその帰りを待つ少女のお話。2つ目の『旅籠姫』は独り立ちする若者が両親に譲り受けた旅籠屋で少女に出会うお話。3つ目の『時を駆ける悪魔』は時の悪魔と同じ名前を持つ女性とその夫のお話。
それぞれがそれぞれと交錯して、最後に収束していくのは読んでいて楽しかった。締めもいい感じに終わっていて、本1冊を読んだ満足感は高かったです。
また、それぞれのお話の個別で言えば、一番好きなのは2つ目の『旅籠姫』。主人公とヒロインの2人がもうホントにとても可愛くて、ずーっと見ていたい感じ。たぶん、3つのお話の中ではこのお話の時間が一番短いのだけど、とても濃密に感じた。
逆に言うと、他の2つはもうちょっとしっかり描いてもよかったのではないかと、少し思った。
先程も書いたけど、こういった3つのお話で1つの物語を構成している上に、お話の要素としても時間を移動するような作品でありながら、これだけわかりやすく読ませていて、更に言えばせっかくの大賞受賞作ですし、分量として……どうせなら400頁くらい、もっともっとガッツリ描かれていてもよかったのではないかなぁと思います。キャラの魅力をもっともっと引き出して欲しかった。

とはいえ、全体としては楽しく読ませてもらいました。
もう少し読みたい気もするし、締りがいいのでここで終わりがいい気もするのですが……まぁどちらにせよ、次回作への期待はしたいと思います。

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