know/野崎まど

メディアワークス文庫を主戦場に面白い作品を発表してきた野崎まどさんがハヤカワJAからSF作品を出すということで、ラノベを好んで読んでいた人たちからも注目度の高かった作品で、かくいう自分も非常に期待が高くある意味ハードル激高で、返って読んだら肩透かし喰らってガッカリしちゃうんじゃないかと思ったけど、大きいお世話もいいところだった。めちゃくちゃ面白かった。

近未来、周囲の情報をモニタリングし交信する〈情報材〉の開発により迎えることになった超情報化社会。人類は脳に〈電子葉〉という脳葉を埋め込み拡張することで、それに対応する。電子葉によって爆発的に超情報化社会が成熟する中で、生まれることになった格差……〈情報格〉。情報材は無差別に情報を取得してしまう……つまり、情報格が高ければ多くの情報が得られ、守られる。低ければ……というわけである。主人公の連レルはそんな社会での情報格5(最高位は6……総理大臣とか)。社会的勝ち組である。そんな連レルが情報材のソースに、かつての恩師・道終常イチの暗号らしきモノを見つけることから物語が動き出す。

その世界観は、攻殻機動隊の電脳のようだとも思えるし、PSYCHO-PASSのシビュラシステム的な監視社会をイメージすることもできるし、それ自体はよくあるモノで大した設定とかではないわけで……野崎まどさんっぽいユーモアもあってまぁこれはこれで楽しいな……などと読んでいたわけですが、恩師の暗号の発見以降に出会うことになる少女・道終知ルの登場から物語は加速していき、くだらないことを考える隙もなく物語の世界にのめり込まされる。
ある意味では、ハヤカワに行こうが、本格的なSF作品だろうが、野崎まどは野崎まどだったという他ない。小難しい話を入れ込む割に何故か非常に読み易く、且つ安っぽくならない。物語がラストシーンに収束していく様は相変わらず美しく、物悲しかったり痛かったりするオチであろうとも、痛快さすら感じさせる手練手管も健在。
Twitterや読書メーターなどの感想でも「最後の一文が凄い」というのが散々言われていて、そんなん見たら最初の話じゃないですけど、ハードル上がりまくるじゃないですか。元来アレな自分は
「お前ら凄い凄い言うけどそんな風に言われたらハードル上がって素直に凄いとか思えなくなるやんアホやなあそんな風に言われて簡単に凄いなんて言うかよ……すげえええええええうおおおおおおお野崎まどすげええええええ」
ってなりましたね。ちょろいすわ。
そこまでの物語がこの一言に収束していく美しさと、それ故のこの一文の痛快さは、なんというか、もう、言葉が出ない。この一文が先にあったのか、書き進めるうちにポッと出てきたのか。

と、こんな風に書くとこの感想読んだ人のハードル上げるだけかもしれんが、野崎まど作品なら大丈夫だと信じてる。
そして、来月にはアニメのファンタジスタドールの前日譚のノベライズが、この作品と同じく、野崎まどさんでハヤカワJAから出るらしい。どんなことになってるのファンタジスタドールとハヤカワJA……。

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